"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

並列分散とWebはどうも噛み合ってない

昔、自宅のパソコンにはスクリーンセーバーの代わりに起動するあるプログラムが入っていた。その名はSETI@home。聞いたことがある人もいるかもしれないがこれは、地球外からの電磁波の受信結果を世界中の端末に配って計算させ、地球外知的生命の根拠を見出そうという壮大な並列分散プロジェクトだった。コンピュータが一生懸命解析した結果をグラフ表示するのを数年来見ていた自分にとって、そんなわけでグリッドコンピューティングとはSETI@homeのことなのであった。あれからSETIはどうなったのかといえば、より大型のプロジェクトBOINCに発展し、宇宙人探索だけではなくて気象学や数学、物理などの他の大規模計算を必要とするさまざまな科学シミュレーションにも活用されている。

Webがインフラの一つとしてどんどん普及するに連れ、こういったグリッドコンピューティングにとってはどんどん好都合な世の中になっている。少なくとも日本人はmixiニコニコ動画に大量の滞在時間を費やし、世界に目を向ければMy Space,Facebookといった超巨大SNSが地球上を席巻している。ブログスフィア*1と違いこれだけ組織的に巨大化したネットワークを使わない手はない。

しかし、現状を見る限り実態はそれほどでもないようだ。マッシュアップ全盛、アイデア勝負のご時勢において、一体何で誰もこんな簡単なことに着手しようとしないのかという疑問がわく。さすがにmixiの低自由度なインターフェイスではまだ無理があるかもしれないが、Open Socialなどの標準化機構が出てきた現在、ガジェットを貼ることくらい誰でも考えつきそうなものだ。

並列分散の専門家ではない自分にはどんな技術難や資金難があるのかさっぱりわからないが、超巨大プロジェクトは資金を継ぎこんでもこれらのネットワークを利用しようと努力すべきだし、Webサイドも自分が作ったネットワークやデータベースがどれだけ科学の発展に貢献できるかという認識をもっと深めるべきだ。これらのサイトの価値が単なる娯楽機能の提供に収まっている現実に、人類の挑戦意欲の限界が垣間見える。(実際は世界中のSNSにつながった低スペック端末をつなげたくらいでは今時の最先端の超大型計算機と互角の勝負はできない、のかもしれない)

たくさんの宇宙ファンがmixiSETIガジェットを載せている未来を夢見て。

*1:すみません誤用でした。ブログスフィアはサービスの固有名。ここでは正しくはブロゴスフィア