"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

広辞苑

ニュースとしては遅いけど、広辞苑第6版が1/11に刊行される。

昭和初期に『辞苑』(じえん)(博文館刊)として出版され、『辞苑』の改訂作業を引継ぎ、第二次大戦後新たに発行元を岩波書店に変え、書名を『広辞苑』と改めて出版された。現在、内容の権威と信頼性では三省堂の大辞林と並ぶ両雄で、語句の定義を語る際には「広辞苑によれば〜」の言い回しがよく使われている。

確かにその言い回しのもつ権威に較べると「Wikipediaによれば」はどうしてもまだ胡散臭さが抜けない(オープンな辞書という特質上しかたないけど)。

1935年(昭和10年):『辞苑』(博文館)発行
1955年(昭和30年):『広辞苑』初版発行
1969年(昭和44年):『広辞苑』第二版発行
1976年(昭和51年):『広辞苑』第二版補訂版発行
1983年(昭和58年):『広辞苑』第三版発行
1991年(平成3年):『広辞苑』第四版発行
1998年(平成10年):『広辞苑』第五版発行

新語に関しては、

広辞苑』は時事用語を多く扱う事典である『現代用語の基礎知識』・『イミダス』・『知恵蔵』の様に新語が毎年追加される性質の書籍でない事から、改版時に採用される新語にあっては、その言葉が一般的に日本語として定着しているかどうかの目安として評価される(例: フリーター、 着メロ等)。

広辞苑』では、一度登録した単語は削除しないという方針があるが、初版にあった「おおあつあつ」(あつあつな恋愛の意)だけが出典や使用した証明が出来ず、第二版で削除された。他にもねつ造が発覚した「上高森遺跡」が第六版で削除された。また、日本人の人名掲載は物故者に限定している。(以上Wikipedia)

10年ぶり改訂の広辞苑に「ゲイツ」「SNS」など新収録、「萌え」は見送り http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/10/25/17304.html

 新語では、「いけ面」「うざい」などの現代語、「マイブーム」「ラブラブ」などのカタカナ語のほか、「ニート」や「メタボリック症候群」などが追加された。IT関連では、「ネットサーフィン」「ブログ」「SNS」「ユビキタス」のほか、「(ビル)ゲイツ」などが収録された。また、一時的な流行で使われているとして採用を見送られた言葉では、「家電(いえでん=自宅の電話番号)」「イケてる」「イナバウアー」「きよぶた(清水の舞台から飛び降りる)」「できちゃった婚」「萌え」などが挙げられている。 (中略)このほか、IT関連用語では、「デジタル放送」「ICタグ」「IP電話」「ADSL」「ファイアウォール」「MP3」「検索エンジン」「サイバーモール」「ワンセグ」「メル友」などが追加される。

10年に1回の改訂という歴史的イベントに興奮している友人は「萌え」が見送られたことにショックを隠せない様子。気持ちはわかる。10年近くの歳月をかけてもう廃れようがないのではないかというくらいまで普及した単語を、「一過性」の一言のもとに斬って捨てる判断には疑問が多い…と思ったら、ほとんど同じことが書いてありましたね。やっぱりみんな思うところは一緒か。

新しい広辞苑に萌え ない http://plaza.rakuten.co.jp/oo00wa00oo/diary/200710260000/

「萌え」は確かに一般化していない言葉だとは思うが、私としてはこれは平安貴族の恋愛心理にも一脈通ずる現象だと思うので、一時的な流行という面はあるもののそう簡単には消滅しないだろうと想像する。萌えキャラの商品は海外の若者にも受け容れられているのだから、日本で「萌え」の流行が下火になっても、アニメ等の用語として存続するはずであり、消滅するとはとても思われない。

広辞苑編纂のお偉方は数年や数十年先の日本から萌えという文化は消滅しているかもしれないと踏んだと考えてよいのだろうか。賛同は難しいが、果たして未来の日本にはどんな産業が残っているのだろうか。