"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

法学部

生協で友人と勉強していたら、ぱっと見60くらいのおじさんが近寄ってきて、センター試験に向けて数学の確率を勉強していると云う。いくら京大とは云っても変わった人もいるもんだなと話を聞いていたら京大の法学部に受かるべく有名な参考書にかじりついて勉強しているのだが、実は過去問をやったことがこの時期にまだないと云う。あんた受験なめてんのかといいたくなるのを抑えつつ、しかし12月の末に文転してあっさり法学部に受かった友人(法学部では間違いなく一番要領のいい奴だと信じている)を知っているので、法学部は数学さえできれば強いですよ、と僕らなりのアドバイスで自信を持たせて別れた。身なりはお世辞にもよろしいといえない老人だったが、しっかりしていて話を聞いてもらったことにもしっかり感謝を告げるような礼儀正しい人だった。

この年で法学部に行ってまともな職につけることをまさか期待してはいないだろうかと気になり、「法学部に行って何かやりたいことでもあるんですか」と聞いてみたら、「お兄ちゃん達にはまだ言わないほうがいいと思う」と謎めいた返答。法学部を目指すよほどの動機でもあるのか、本当に受かったらいったい何をしでかすんだろうと少し恐怖を抱いたけれど、友人にその話をすると2,3年前から出没している有名人だということがわかった。なんだよくいる妄言癖の老人かと思ったが、実は受かってくれないかなと少し期待している。ちなみに、北部食堂でよく勉強しているらしい。