"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

『「世界征服」は可能か?』

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)


第2章までの類型論は、面白いけど、あくまで「やってみた」的な面白さ。

第1章:世界征服の目的

  • 世界征服には目的がなければならない。
目的 歴史上の例 架空の例
人類絶滅 チンギスハン ガミラス星人
妖魔帝国(『ライディーン』)
クロベエ(ヤッターマン)、スペクター(『007』)
独立 大日本帝国 ジオン公国
悪を広める ピッコロ大魔王
目的が意味不明 聖帝サウザー(『北斗の拳』)

第2章:あなたはどんな支配者か?

魔王 「正義」で全てを支配 オウム真理教 死ね死ね団
ピッコロ大魔王
デーモン一族(『デビルマン』)
アンドロ軍団(『新造人間キャシャーン』)
独裁者 責任感のある働き者、人類の管理人。
面倒事を押し付けられて過労死することも
ヒトラー ヨミ様(『バビル2世』)
夜神月
ガーゴイル(『不思議の海のナディア』)
王様 バカ殿。自分大好き、贅沢大好き 金正日 ムスカの上司の将軍
レッドリボン軍総帥
黒幕 悪の魅力に溺れる裏方 ヤクザ、マフィア、詐欺師 スペクター(『007』)
フリーザ
カリオストロ伯爵

第3章:世界征服の手順

  • 割愛。

第4章:世界征服は可能か?

他の3章と比べて具体例にも圧倒的な読み応えがある。

「悪」とは時代によって変わります。
というより、「その時代に信じられている価値観に反対すること」が悪の定義なのです。
そして、その流れで考えるならば、現代の「悪」とは「大衆社会」「情報社会」に反対するものになるのです。
(中略)
世界征服を目指す人とは、現状を否定する人のことです。
人に優しく、環境に優しく。良識と教養ある世界を目指すことによって、「悪」の栄える世界を目指しましょう。

毒舌のようなそうでないような秀逸な結論。善悪はきちんと相対化して考えないとね。