"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

エポック

 皆さんは本日2/14が何の日がご存知だろうか。一年前の今日という日は、株式会社はてなが次のような輝かしいテーゼを引っさげて京都移転を発表した日だ。

 今回の京都移転によって、はてなの新しい発展の契機をつかむと同時に、いず
れは京都が日本のシリコンバレーのような場所となり、インターネット産業の
流れを変えることができればと考えています。

【プレスリリース】株式会社はてな、本社を京都に移転、ものづくりの拠点を結集 - 会社情報:プレスリリース - 機能変更、お知らせなど


 なぜ僕がこの日を覚えているかというと、もちろん世間でバレンタインデーと呼ばれている日であったからであり、ついでに言うとid:gintacat主催のHUG Kyotoの第一回*1が開催されたのはホワイトデーであった。


 週刊はてな今週のお題は「私とはてなとの出会い」だそうである。『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)』を読んだのが僕とはてなとの出会いの最初のきっかけだったのだが、はてなとのリアルな出会いまでのことはよく聞かれる割にはあまり書いたことがない*2


 その頃の僕はといえば、いろいろあって*3京都のITベンチャーlang-8に居候(実質全くコードをコミットしていないので居候と表現しておく)していた。id:gintacatと初めて会話したのは確かlang-8のバーベキュー*4のときで、初めてリアルで出会ったはてなユーザーでもある。このときははてなの人と会ってみたい、という漠然とした話で盛り上がって終わった。後で本人から聞いた話では、リアルで知っている僕という人間とid:satzzというネット上の人間を両方HUG Kyotoに誘うつもりだったというので面白い。このバーベキューで出会った人、HUG Kyotoに来た人からもはてなアルバイト/インターンとして巻き込まれた人が何人かいて、この先生の「巻き込み」力の大きさにはただただ感謝しひれ伏すのみである*5


 というわけで、この日*6は僕の人生にとっての一大エポックであったのだった。新しい風、あるいは何か超越的なものの予感*7に身が震えたと言ったら大げさになるだろうか。ひょっとしたら、最も運命的な恋愛とはこのようなものかもしれない。はてなのコードによもやコミットすることになるとはまだ全く予想しなかった僕だが、この日以降、偶然を必然と解釈する自由とともに徐々に歩を進めることになる。


 大きな流れに巻き込まれて僕が生きる一回性の生を一般化して他人に押し付けたって全く説得力はないのだが、この短い生から仮に誰かに助言することがあるとすれば、運も縁も嗜めということに限る。このように僕が綴り続けることが誰かの人生を巻き込んで動いていくようなことがあるなら、それよりゾクゾクすることはなかなかない。

*1:http://d.hatena.ne.jp/satzz/20080314/1205521757

*2:http://www.hatena.ne.jp/company/staff/column/20081003

*3:http://d.hatena.ne.jp/satzz/20080707/1215446444

*4:http://d.hatena.ne.jp/satzz/20071023/1193159027

*5:http://www.hatena.ne.jp/company/education/casestudy_kuad

*6:正確に言えばid:gintacatからこの発表のことを聞いた2/6

*7:http://d.hatena.ne.jp/satzz/20080524/1211606843