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"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

シリコンバレーに行ってきました

 またご無沙汰してしまった。かなり多くの方に周知していた通り、聖地シリコンバレーを巡礼してきた。一緒に行動した皆さん同様、僕は3/19から3/26までの自分の旅の報告をしなければ色んな方に怒られそうなのだが、どういう形式にするかは迷う余地があった。誰だったか忘れたが「現地に行った者の身としては、どこに行ったというログよりもどんな気持ちの変化があったかの方に遥かに興味がある」とtwitしている人がいた*1。確かに現地にあるものは現地に行きさえすれば誰でも目にすることができるものであり、誰が書いても同じようなログになる可能性が大きい。僕はこれには同意なのだが、何を読みたいかは人によって違うだろう。誰の役に立つのか分からない僕の個人的な随想はとりあえず後にして、今日は8日間の行動記録とまとめを綴ろう。

前口上

 SVについて漠然と想いを馳せるようになった、というか僕にとってほとんど全てが始まったのが、『ウェブ進化論』との出会いからであることは再三語ったつもりだ。友人の誘いでベンチャーの世界に半分首を突っ込み、code.google.comの中の人に偶然出会い*2、いつかSVに行ったら歓迎してね、と冗談のような遠い約束を交わし、偶然京都に帰ってきたはてなでアルバイトを始めた。だんだん外に出ていくことが減り、旅行三昧だった去年の2月までに比べるとどんどん行動範囲が狭くなっているのを自覚していた。就職活動や勉強会やOFF会で交遊を広げることもしなかったし、学業も適当にやりすごした。最高の環境で書きたいコードを書きただ切磋琢磨する、それができる現状に不満はなかったし、今もない。


 ただ、また旅をしたいとは思っていた。背中を押してくれたのは、11月のはてな合宿で何の心の準備もなかった僕に突如「JTPAカンファレンスに参加しよう」と話をもちかけてきたid:hxmasaki、それからダイアリーに参加を表明していたid:yaottiだった。ハチロク世代の忘年会に出たりTwitterのtimelineをみているうちに、観測できる範囲からも結構(はてな関係者からも総勢7名)行くということがわかってきた。みんな考えていることは少し違っていても、志向性は同じだということを再確認した。知り合いがいないと行動できない、というのは大して自慢できたことではないが、大いに心強い気持ちになった。


 SV訪問は、一年前の予想より遥かに早まった。去年の僕が聞いたら「まさか」と跳んで驚くかもしれない。今思えば去年の春休みや夏休みに行動に移ることだってできたはずだが、この時期に皆さんと旅ができてこれ以上よいことはない。招集をかけてくれたJTPAと、この旅でご一緒した皆さんにまずお礼を申し上げます。

旅程

 写真はhttp://www.flickr.com/photos/14893695@N03/collections/72157616054406032/に全部上げているので、ご自由にどうぞ。

  • Day 1(3/19)
    • 関空からSan Francisco入りし、レンタルした自動車でホテルへ向かう。アメリカンサイズのステーキの洗礼を受けて就寝。
  • Day 2(3/20)
    • 朝から現地携帯とEye-Fiを求めてSan Francisco市内を散策、Apple Storeでのんびり。Caltrainと車でMountain Viewのホテルへ移動。
  • Day 3(3/21)
    • JTPAによるSVカンファレンスと夜の懇親会。
  • Day 4(3/22)
    • 一日使ってStanford大学散策。夜はタイ料理。
  • Day 5(3/23)
    • インテル博物館、Googleplexを訪問し、Palo AltoのApple Storeで時間を潰す。その後San FranciscoのDropBoxオフィスを訪問し、中華街で夕食。
  • Day 6(3/24)
    • Google San Franciscoを訪問し海辺を歩きながら写真を撮る。Virgin StoreとまたもやApple Storeで時間を潰す。
  • Day 7(3/25)
    • 自転車でGolden Gate Bridgeを渡りSausalitoの町を楽しむ。戻ってきてからApple本社へ行き土産をたんまり買う。夕食は寿司。
  • Day 8(3/26)
    • 帰国。

去年までとの違い

 聞き及ぶところでは、JTPAは去年まではバスツアーを開いていたのだが、裏ツアーや裏裏ツアー、裏裏裏ツアーという謎の自主企画の存在を受け、カンファレンス一日限りの開催に運営を縮小したのだという。開催者、参加者両者から不満がなければ(決定的なものはおそらくないと思われる)、今年と同じ形式で続くものと思われる。今年の僕らのツアーは表ツアーよりも裏ツアーに近い。裏ツアー形式ではアポ確保や車の調達を自前でしなければならず、確かに苦労は多かったのだが、観光バスツアーと違って2,3人単位の小さなパーティで行動できる裏ツアー形式は、かなり我がままがきいた。id:ninjinkunは表裏両方のツアーに参加した稀少な人物であるが、比べてどちらがどうだったという話は本人の語るに落ちるを待つとしたい。

準備

 飛行機はもちろん移動もアポも何もかもを自分で手配しなければならなかったので、自然と役割分担をするようになったが、これは割とスムーズに行ったと思う。僕は6人分の飛行機と12人分のSan Franciscoのホテルの手配に責任を負った。そのかわり日本での懇親会の開催、企業のアポ、車の手配や運転、ナビゲーション、Mountain Viewでのホテルの手配は完全に人任せで、大いに助かった。誰がいつ現地入りし、何日にどこにいるのか、ということも全く把握していなかったし、誰かに聞けば分かることなので大して困らなかった。(わからないこともあったが、そのときはそのときで諦めればよい)。これは団体で行動してよかったと思える点だ。


 僕がとったアポはGoogle SFのみで、他は人のアポに乗りっぱなしだった。短い期間に色んなアポをみんな詰め込んでいくのでギリギリまで調整が難しく、結果的に僕が参加したのはGoogle,Google SF,Apple,DropBoxだけだった。第2日のCoolirisも行けそうだったが、Eye-Fiと現地の携帯を購入する目的があったので行かなかった。


 事前のアポの調整やブレスト、コミュニケーションにはFacebook,Google Groups,Google Spreadsheets,Lingr,はてなグループといった各種グループウェアが、懇親会でもSkypeUstreamが積極的に使われた。さすがにSVツアーだけあって大したトラブルはなかったが、情報の分散と(主にGoogle Groupsによる)本当の情報洪水を体験することになった。普段仕事ではてなグループを使う分にはうまく情報を取捨できているので、はてなグループ++という思いを新たにした。

チーム

 表ツアーがなかったため、今回のツアーはは非常に緩やかな結びつきのパーティだった。恐らく全員がリアルで一同に会したのは21日のカンファレンスのときのみで、それ以外は毎日違う人と行動し、たまたま同じ場所にいた人どうしでどうにかする、ということが連日起こる不思議な空間だった。どこまでが何チーム、というような明確な線引きはなく、全体の規模感もよく把握できず、判断は完全に各人に委ねられた。例えばチームでTシャツを作って着ていこう、という話も出たのだが、意外と盛り上がらなかった。hot teamというideaは魅力的だったのだけれど、日本人的すぎるという抵抗感と天秤にかけていた人は多かったのではないだろうか。結局僕は注文のことを思い出したのが出発3日前で、届くのが間に合わないということで注文しなかった。


 「あれ…SVに来ているのに…?」という奇妙な感覚は大人数での企業訪問でもあった。DropBoxのオフィスのアポに乗っかっていったのだが、自由行動の時間に気がついたら30人ほどが同じ画面のデモを見ているシーンがあった。僕は大学の講義をはじめとする「みんなで黙って話を聞く」というスタイルからできれば離れたいので、そこにいたid:hxmasakiとCEOを捕まえて卓球を始めた(オフィスには卓球台があったが、CEOは弱かった!)。もちろん、小さい団体でぽつぽつ行ってもオフィスに迷惑をかけるだけだということはわかっているつもりだ。アポをとってくれた方、どうもありがとうございました。


 僕らは関空組を中心に関西組として比較的小さいまとまりで行動し、交流する人の数が少なくなってしまった。日本でも関東組と関西組の懇親会は物理的に分けざるをえなかった(もちろんustやSkypeで連絡はとりあった)。「日本人で固まっている時点で既に…」という諦めもあったので僕はあまり気にしていなかった。一番アクティブな人々は現地人に案内してもらったり韓国系の起業家と交流したりしていたからだ。


 迷いが生じたのは、人数制限が微妙なアポや急ぐアポで日程を決めたりする場合、全体に連絡を回すよりもその場にいる人間で固めたほうが明らかに手っ取り早いため結果的に近くにいる人と同じスレッドに入ってしまう、というようなケースだ。こういう経緯もあり必要以上に関西組を意識してしまうことが往々にしてあった。このようなことを避けるには、渡航前からもっと関西と関東の交流を深めておく必要があったと思う。


 こういった点は常に意識していかなければならないものかもしれない。チームを作った時点で、内部に矛盾が生まれることは覚悟しなければならない。独立心の強い人がいつも問題にする組織の閉塞感も、もとはチームの連帯感の延長にある。誰だって初めは進取の気性に満ちているのだ。閉塞を回避したければ、そもそもチームを作らないか、大きくしなければよいのだろう。


 そんなわけで僕は、みんなが企業訪問するのなら僕は違う自分のしたいことをしよう、という変な意地を貫いてしまった。限られた時間で多くのベンチャーを見て回る人がいる中、ゴールデンゲートブリッジまでサイクリングのようないかにもな観光客でいたというのはいかがなものか、と思われるかもしれないが、僕はこれでよかったと思う。majorityはminorityにおいてはminorityなのだ。

 よくよく思い出してみると、ちゃんとしたものを食べた回数が滞在日数に比べてあまりに少ない。予想済みといえば予想済みだ。ちゃんと構えていったレストランはどれも当たりだった。初日のステーキはボリュームでごまかさないおいしい肉だったし、後半のアジア食の攻めも充実していた。少なくとも1週間程度であれば食生活にはそれほど困らないことがわかった(トロントに1ヶ月いたときは食べ物に飽きてしかたがなかった)。

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自転車

 ご覧の通り、自転車生活に帯する福祉はたいへん厚い。公共交通機関が自転車をサポートしているので、どこへでも行ける。何でもかんでもアメリカ流にすればいいというつもりはないが、この点に関しては羨ましい限りだ。自転車は基本的に車やバイクと同じような扱いらしく、歩道を走る人、逆走する人、ノーヘルを全然見ない。特に女性のヘルメット率が相当高いのは驚きだ。日本だと雨の日も多く晴れの日を選んで遠出しようという気もなかなか起こらないので、事情がだいぶ違う。
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 現地での基本的な足となる自動車は、ドライバーのid:guccyon,id:promland,id:htomineが現地でレンタルしてくれたものに分乗。ナビゲーションは主にid:ninjinkun,id:hxmasakiに任せっきりで、よくわからなかったが非常に助かった。Wi-Fiが常にあるとは限らないので、カーナビはあったほうがいいようだ。

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宿

 San Franciscoでは8th,MarketにあるWhitcombに3泊した。これはHISに飛行機を押さえてもらった時に同時に押さえてもらったもので、初夢フェアとかいうものを使って二人で7000円/dayとかなり安めに泊まれた。見かけはかなりいいホテルなのだが、Wi-Fiが微妙だったり、自販機で水を買おうとするとどの階もことごとく壊れていたり売り切れていたりで結局氷を砕いて水を飲むということがあった。しかし致命的というほどではなかった。


 Mountain ViewではMarriott Residence Innを予約してもらい4泊した。ここの素晴らしいのはなんといっても広さで、4人部屋なのに2Fがあったりして(2Fの一部屋の内部に1Fと2Fがある!)結構な収容能力を誇る。ここで撮られた素晴らしい写真がそのうちどこかに上がるらしいので楽しみにしよう。
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 せっかくなら今回のSVツアーをただの観光ツアーにするのではなく、これを契機として新しい流れを起こしたい、という動きが渡航前からあって、そのための秘密基地という面でも仲間と宿は大事ではないかと思う。

Wi-Fi & iPhone

 旅程中のWi-Fiカバレッジは、残念ながら期待したほどではないという印象が大きい。Googleの牙城であるMountain Viewにいる時間が短かったこともあるかもしれないが、Google Wi-Fiを検出してもつながらないことが案外多かった。Whitcomb HotelのWi-Fiも日により部屋により調子が悪く、特に初日の夜は全くつながらなかった。 確実につながるのはGoogle,Google SF,Intel Museum,Apple,Apple Storeとカンファレンス会場で,StanfordのWi-Fiはデフォルトでは使えなかった(現地学生に頼むなどしてその場で登録すれば使えるらしい)。


 iPhoneは3GとローミングをOFFにし、APN Disablerを入れておいた。電話はそのまま使えた。fringはインストールしていったが一度も使わなかった。Wi-FiがあればGoogle Mapsがseamlessに読めるし、GPSは地球上どこにいても使える(はず)のでMapsをキャッシュしておけばナビもできる。これは便利。

写真

 そろそろ安めのデジタル一眼レフでも買おうかと思っていたらid:hxmasakiが京都に来て、気がついたらNikon D60片手にアメリカにいた。何を言っているのかわからないと思うが、僕も何をされたのかわからなかった…。3000枚弱撮った。連写おいしいです。


 日本で扱っていないという高機能のEye-Fiを現地で入手する計画だったのだが、成就しなかった。現地で実戦に使っていたのはid:hxmasakiだけだった。後述。


 Camera on Rails.
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英語

 お察しの通り一緒にいるのは基本的に日本人なので、英語の恐怖はほとんどない。話したくなければほとんど話さずに帰れる。僕の場合はほとんど人任せで、自力で英語を云々する必要があったのはGoogle San Franciscoを訪問したときと、帰りの飛行機で隣の客と仲良くなったとき、あとはホテルやレストランで事務的なことをするときだけだった。Google SFでは僕とid:hxmasakiがはてなのデモを、id:guccyon夫妻がすうじあむのデモをした。


 リスニングで一つ残念なミスをした。後述。

費用

 ロシアでの贅沢な列車旅に比べればやはりreasonableな旅だったと思う。カンファレンスが$100,飛行機が\88280,宿が\3500-$53/dayで後は食費、交通費、おみやげ代などを含めベースは15万円程度か。トロントに行ったときの経験から$1500分のキャッシュをスーツケースに隠し、少しずつ切り出していたのでキャッシングの必要がなかったが、空港でスーツケースごと紛失するリスクを考えるとおすすめはできない。あくまで自己責任で。他には、クレジットカード、保険証、パスポートなどの身分証のコピーを3部刷り、一部は財布へ、一部はリュックへ、一部はスーツケースへ隠していた。キャッシュが使えないシーンもある。クレジットカードはできれば2枚あるとよい。現地でいつでもMacBookを買えるように限度額を引き上げておくのを忘れないこと。

みやげ

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事件簿

ESTAフィッシング疑惑事件(1名)

 渡航前、見るからに機械翻訳的なESTA(渡航申請)代理サイトがMac Firefoxで動かず、ついパスポート番号を入力してしまったため勘違いして大騒ぎしてしまった。フィッシングでもないし詐欺でもないです。すみませんでした。

Eye-Fi故障事件(1名)

 San FranciscoのRitz Cameraで買った転送速度2倍のEye-Fi Exploreが壊れていて使えなかった(SDカードとしては生きていた)。京都に帰ってきたら新品が郵送されてきたのでよしとしたい(住所を指定する時になぜか州を選ばなければならずKyoto,CAと書いたので諦めていた)。
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Intel Museum到着未遂事件(4名)

 第2日にCaltrainとSan Joseのlight railを乗り継いでIntel Museumに行こうとしたが、メンバーと合流できず場所もよくわからないのでたどり着けなかった。第5日に行き直した。
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Marriott混同事件(4名)

 Mountain Viewで目的のMarriott Residence Innを発見したが別のホテルだった。
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Googleサーバー発見未遂事件(4名)

 Stanford大にGoogleの初期のサーバーがあると聞き、工学部らしきところを隅から隅まで探したが、日曜だったので目的のGates館に入れなかった。

DropBoxシャツ入手未遂事件(1名)

 DropBoxのオフィスで有料アカウントユーザーにシャツをあげる、という英語を聞き取り損ねてしまった。訪問者全員の容量を1GBアップというサービスもつけてくれて、無料アカウントのみんなは2GBから3GBに増えて喜んでいたのだが、既に50GBの容量を持っている僕は涙目。id:hxmasakiTwitterでスタッフの名前を記憶してシャツをGET。
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クラブ入店未遂事件(2名)

 San Franciscoの観光局おすすめのクラブに行こうとしたが入り口を発見できず、メインストリートからそれほど離れていないにもかかわらず周囲の治安があまりに悪そうなので引き返した。もう一つのクラブRuby Skye(!)も行ってみたかった。

Sausalito放浪事件(3名)

 自転車でSausalitoからGolden Gate Bridgeに戻る道を間違え、あわやSan Franciscoに戻れずApple本社に行き損ねるかと思った。
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Caltrain降車未遂事件(3名)

 Appleの帰りのCaltrainで、Millbraeで降りるはずが駅のアナウンスがBroadway(一駅手前)と言っていて降り損ねた。無賃で連行された乗客を見ていたため慌てて次のSan Brunoで降りると一時間待ちで、強風の夜をMillbraeまで歩こうという判断をしたが、暗くて道もよくわからないので引き返しCaltrainに乗り直した。
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Apple Store行き過ぎ事件

 数えてみたら第2日,第5日,第6日にApple Storeに行っていたうえ、ついにApple Company Storeも拝めた。Stanford大のBook StoreではiLife'09などが外部者でも半額で買えて驚愕だった。このツアーでのAppleへの献金総額はどれくらいなのだろう。
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*1:id:syou6162先生のお言葉でした

*2:http://d.hatena.ne.jp/satzz/20080120/1200843715