"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

16時間

何回か書いている通り、僕の母校には反響板同好会という恐らく世界で一つしかないであろう団体がある。少し調べてもらえばわかるが、別に音響の研究をしている人たちではなく、高校オケ、合唱、演劇、謡曲などの舞台設定、入れ替えのために反響板を上げたり下げたりする専属スタッフで、そこそこ有難がられたり、そうでもなかったりする。

その「ハンキョウバン」の同窓会が、ボスである恩師の退職記念もかねて新風館で行われた。あちこちに散っていた代々OBの方々が一同に会し、いろんな人と知り合う滅多にない機会であった。そして、中華もなかなかうまかった。



東大で物性を研究しているある人から聞いた話だが、昔の物理屋の先輩諸兄はこう言われたらしい。

飯も食わずに16時間机に向かって肩が凝る人は実験に行きなさい。そうでない人は理論に行きなさい。

実は結構何にでも利く言葉で、「16時間ここにいてもよい」と思える場所を探せということだ。単に16時間耐えられる趣味があればそれでよいというものでもなく、趣味が仕事になることで出てくる困難を乗り越えてでもつきあいたいと思えれば、それが天職になるらしい。自分の今の仕事が天職だと実際に話しているのを聞いたことがあるのは、今のバイト先の社長一人だけだ。プログラマの恍惚というべきか、確かに見ていてもそんな感じなのだが、自分の場合どこまでそういう心境になれるんだろう。