2014年人工知能関連のニュース振り返り
今年はIoT元年と騒がれると同時に、機械学習や人工知能関連でも印象に残るニュースが多かったように思う。
しばらくウォッチしていなかったな、と思い出しながらホッテントリやGoogleニュースを調べてみると実際面白かった。
2013年
- 10月
- 映画『her/世界でひとつの彼女』公開(日本は6月)
2014年
- 4月
- 10月
- 11月
- 12月
さて、何か新しいものが実際にやってきているのだろうか。この領域のブームは20年周期で起こるという人もいる。
現在のセンセーションの一つはカーツワイルのシンギュラリティ*1だ。カーツワイルはかつて、人工知能の父と呼ばれるミンスキーの教え子だった。
ミンスキーは2012年のインタビュー書で、スリーマイルから福島までの30年間のロボット工学の進歩は皆無である*2と嘆き、人工知能研究が単にエンターテインメント化しているとして警鐘を鳴らした。
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,ノーム・チョムスキー,オリバー・サックス,マービン・ミンスキー,トム・レイトン,ジェームズ・ワトソン,吉成真由美
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/12/06
- メディア: 新書
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複雑な文章であったり、「ある理論が、ある種の問題には適応できない」というような内容であった場合、自動翻訳機はこの「Not」を理解することができない。なんらかの「否定」が入っていることはわかっても、文章の内容を理解しているわけではないので、正しく翻訳することができないわけです。
生成文法などの武装により言語学研究の潮流を一新するだけでなく学問・政治の世界に大きな発言力を見せるチョムスキー(上掲書にも登場する)は、カーツワイルのシンギュラリティをSFだと言い切る。
NLP(自然言語処理)においては、生成文法・認知言語学を含む伝統的な理論言語学に対してこのような空気が定着しているときく。
「言語学者をクビにするたびに音声認識の精度が上がった」(Jelinek)という逸話もあるぐらい、言語学者とNLPerの溝は深い。http://t.co/ElVV5cuE
— nooyosh (@nooyosh) 2012, 8月 31
NLPにとどまらず認識や思考にかかわる研究は、「父」たちの思惑をよそに、これまでのところ統計学や機械学習の成果を背景に目覚ましい進化を遂げているようには見える。
色々な人が色々と好きなことを言っているようでずっと観測し続ける分には刺激が多い領域だ。
専門外ではあるものの、僕も引き続きどのような洞察やコミットができるのか考え続けたい。
*1:カーツワイルはシンギュラリティの到来を2045年頃と予測したのであり、その概念の提唱はむしろヴァーナー=ヴィンジに帰せられるとのこと。失礼しました。
*2:実は2007年頃に僕も、阪神大震災後の神戸市街を模したフィールドで救助活動を行うロボットコンテストに参加している。結果は上々とはいえず自律ロボットでもなかった。とはいえその後考える機会が多分にあったはずなのだが・・