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"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

フューチャリスト宣言

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フューチャリスト宣言 (ちくま新書)

フューチャリスト宣言 (ちくま新書)


対談なので結構まとまりがない感じだけど読んで元気が出た。まとめようっていうのがちょっと無理か。気に入った箇所をいくつか。

第2章 クオリアとグーグル
梅田:グーグルが賢くなるんですよ、僕が一生懸命書くことによって。茂木さんがクオリアについて書いていても、結局おなじ。最終的に検索エンジンが賢くなるんですね。毎日毎日賢くなっていくんです。検索をするということに連動して事業価値が創造されるから、グーグルは賢くなるほど儲かる。一年前よりいまのほうがグーグルは賢いわけだけれど、それに寄与しているということに、僕は一番抵抗感があったんですよ。消費されて、やられている感。
茂木:その段階は、もう超えたのですか?
梅田:超えました。僕がグーグルを賢くしてやるんだよ、と開き直った(笑)。「マトリックス」の電池になってやろうじゃないかと。それが僕の社会貢献の姿なんだとね。

ちょっと身の回りに対する反動でこんなことも書いちゃったけど、貢献ってのはまさにその「世界を賢くしてやる」って意気だと思うんですよ。あー、なんとなくもやもやしてたところが晴れた。

第3章 フューチャリスト同盟だ!
茂木:僕はこれからの時代における個人と組織の関係は、所属というメタファーではなくてアフィリエイトというメタファーでとらえるべきだと思っています。そんなことをある時に思いついて、気が楽になったんですよ。日本人って所属が大事だと考えがちですが、いまは個人として屹立するためのインフラがネット上にちゃんとある。

所属の終焉という提言が、フューチャリストついでに紹介した『人類の長い午後』における「市場の終焉」のようにこれまたアナーキーな希望を与えてくれる。

第4章 ネットの側に賭ける
梅田:僕は、いま起こっている現象を、過去の思想家の考えや過去の現象とのアナロジーで解釈しようとする人が多すぎる気がしている。たとえば近代に起きてきたことの流れを前提に、ネット世界でいま起きているある現象が過去の何かと似ていたら、その過去の推移と必ず同じことが繰り返されるだろうと考える。それを前提に、過去の思想とか哲学を現在にあてはめて議論しようとする。僕はそこがいまのネットの言説をめぐる大問題だと思います。

勝間和代氏や本田直之氏の本を読んでから、人生は投資だ、という思考が定着してきた。マクロ経済も就職活動も自己啓発も資産運用も全ては同じ構造の問題で、結局は投資の知識につながってくるのかもしれない。たとえ投資に興味がなくても、現代知識人は古い世界に賭けるか、新しい世界に賭けるかで頭を悩ませなければならない。古い人はそもそも新しい世界が見えていないから話が成立しないことも往々にしてあるんだけど、新しい世界はたとえゆっくりだとしても着実に古い世界と置き換わっていく。現実の流れは頑固者の好き嫌いでひっくり返るようなものじゃない。それに対する先見の明がどれだけあるかということが勝ち組、負け組を決めるというごく当たり前のことを茂木さんもさっきの組織論の続きで言っているんだと思う。なんか実りある議論ができないけど、それは歴史上当たり前すぎるからなのかもしれない。

でも、古い世界と新しい世界のどちらかしか選べない世界の構造にそもそも疑問を抱いているメタな視点の人のことも忘れたくないな。