"血をもって書け。そうすればあなたは、血が精神だということを経験するだろう。"

或る数学屋

長年の友人に数表を作ってくれと頼まれた。組み合わせ論に絡む問題で、オブジェクトでもゴシゴシ作って計算しないと大変そうなので慣れているVBを使った。Young図形なんて知ったこっちゃない自分に作業手順を教えると、彼は取り組んでいる理論のハイライトを説明してくれる。周辺理論は数学上では基礎なのだが、彼の見つけた対象の研究者はまだ知らないらしい。学生が未知の領域を開拓したり警備員が歴史上の難問を解いてしまうということは、紙と鉛筆と時間さえあれば理屈が進んでいく数学の世界では珍しくないのかもしれない。

実用価値は少なくとも最先端の物理を学ぶまではさっぱり見えてこないが、門外漢の理解できる範囲においても彼の理論は確かに美しい。その理論に劣らず深い数学への彼の愛情は、遅かれ早かれ何かを成し遂げるに違いないと期待させてくれる。こういう依頼が来るたびに、数学をやるのならいい加減プログラミングを覚えろといいたくなるのだが、本人にはその気が毛頭ないようだし、そんな勉強をする暇があれば理論の建設に邁進させた方が人類の時間資源の有効活用になるのかもしれないので、半ば諦めて引き受けている。

一日一チベットリンク

チベット人僧侶1名が、中国当局による僧院の封鎖のせいで餓死した。チベット人権・民主センター(TCHRD)が今日明らかにした。亡命中のチベット人らによるこの組織によると、3月14日以来中国軍による包囲が続いているラサのRamoche僧院で、Thokmeyという僧が昨日、窮乏により死んだとされる。